ここはJR銚子口駅(大沼をその形から銚子に見立てて、その口に当たることから付けられた地名から)、函館本線の砂原支線(駒ケ岳の東麓を海沿いに大きく迂回して大沼―森を結ぶ枝線)にある駅の一つで、大沼湖畔のキャンプ場から500m程の距離にある無人駅。駅のホームからは駒ケ岳の尖峰が至近の距離で、見上げる高さに望むことができる。狭いながらも清潔感溢れる待合室には地元、東大沼小学校の全校児童(といっても8名)の絵が展示されていたり、訪問者用として備え付けの自由ノートには、遠来の訪問者のこの駅に対する想いなど、「北の旅情」を綴った書き込みがいっぱい。函館―札幌を結ぶ特急列車は全て駒ケ岳西麓の本線の方をショートカット、砂原支線を走る列車は朝夕が中心の普通列車と一部の貨物列車のみ。7月20日の昼下がり、2時間ねばって旅客列車1本(1両編成のディーゼル車)と貨物列車が2本、そしてこの日のお目当ては今季の運行を開始したばかりの「SL函館大沼号」、黒煙を吐きながら轟音をあげてSLが通り過ぎた後に残されたものは、煤の臭いと森の梢を揺らす風の音と山鳩の鳴き声(デデッポッポー)だけ。北の無人駅のワンカットでした。

