7月の和名を文月と使っていますが、文月は旧暦7月=新暦8月のこと。
季節からいえば旧暦6月の呼称の「みなづき」が良いと思うのですが。
暦-1の蝉の羽月、常夏月、焦月などは確かに夏を思わせる言い方ですが、
よく言われる「みなづき」について調べました。
みなづきの謂われは 幾つかの説があります。
1 みなしつき(皆仕尽)または、みなつき(皆尽)の略
田植えが終わり、大きな農仕事が皆尽き、秋の収穫を待つばかり」の意味。
[奥義抄] 平安後期の歌学書。3巻。藤原清輔ふじわらのきよすけ)著。天治元年(1124)から天養元年(1144)の間に成立。
その中に
「みなつきたるゆゑに、みなしつきといふをあやまれり」
[二中歴] 二中歴(にちゅうれき)は、鎌倉時代初期に成立したとされる事典です。
平安時代後期の「掌中歴(しょうちゅうれき)」と「懐中歴(かいちゅうれき)」の内容をあわせて編集したものとされています。
その中に
「六月農事すでに終わり、旧穀皆尽く。故に此月を称して、 皆仕尽(みなしつき)とす。
今云ふ所のミナツキは、是ミナシツキの略也」
2 「水+な(連帯助詞)+月」:水が溢れるほどの月の意味
「蜻蛉日記」(かげろうにっき、かげろうのにっき、かげろうにき)は、平安時代の女流日記で、
作者は藤原道綱母。天暦8年(954年) – 天延2年(974年)のできごとが書かれています
その中に
「6月(みなづき)になりぬ。朔日(ついたち)かけて、長雨いたうす・・・」
また、
みなづき祓(ばらえ)の行事が伝わっていて、罪・穢れを人形に移し、川に流す事をします。
[倭訓栞] 江戸後期の国語辞書。93巻。谷川士清(ことすが)編。安永6~明治20年(1777~1887)刊。
「水月の義なるべし、此月は田ごとに水をたゝへたるをもて名とせり」
3 水無月:「太陽が照りつけ、酷暑で水が涸れてなくなる」の意味
上の2とは逆の説。
[万葉集] 7世紀後半から8世紀後半ころにかけて編まれた日本に現存する最古の和歌集で、
成立は759年(天平宝字3)以後と言われています。
「六月(みなづき)の土さへ割りて照る日・・・・・・」
[竹取物語] 日本最古といわれる物語。『竹取物語』は通称で、『竹取翁の物語』とも『かぐや姫の物語』とも呼ばれたものです。
成立年、作者ともに不詳ですが、遅くとも10世紀半ばまでに成立したと考えられている。
「みな月の照りはたたく(雷が鳴る)にも」
4 雷 [語意考] 賀茂真淵編。1769年自序
「加美那利月(かみなりづき)の上下を略けり」ただ、なぜ略されたかは不明。
また、十月を「かみなづき」と言うのは、この月から雷が落ちなくなるからで、「かみなりなしづき」である。と言っています。
*月の呼称の中でも、6月はいろいろな説が多いそうです。
=おわり=