この先は相対うず度について述べるが,単にうず度と記す。

 

うず(回転)を表わす(見る)時には,その回転軸の方向から見る(図6.48)。うず度はベクトルであり,
風と同じように成分に分けて考えることができる。

うず度のx成分(y−z面:南北断面)をξ(クザイ)

うず度のy成分(z−x面:東西断面)をη(エータ)

うず度のz成分(x−y面:水平面) をζ(ツェータ)

 

 

図6.48 相対うず度の成分

 

 

うず度の表わし方はいくつかあるが,普通は風の成分で導く。

風の東西成分をu, 南北成分をv, 鉛直成分をw とする。

     うず度= (凾浴^凾凵j−(凾磨^凾噤j:ξ=x成分

         +(凾普^凾噤j−(凾浴^凾):η=y成分

         +(凾磨^凾)−(凾普^凾凵j:ζ=z成分

 

大規模現象ではうず度のz成分が主要な働きをし,x,y成分は無視できます。したがって,うず度の鉛直成分

ζ=(凾磨^凾)−(凾普^凾凵j :z成分 

単位は/s=s−1 :発散と同じ    (6.53)

を考えれば良い。ここで,

・ζが正(正の渦度)のときは,低気圧性の回転,回転方向は反時計回りである。

・ζが負(負の渦度)のときは,高気圧性の回転,回転方向は時計回りである。

 

うず度を図6.49で考える。

計算をする際に気をつけるのは

   風の東西成分u:西風は+,東風は−の値

風の南北成分v:南風は+,北風は−の値 

であることである。

 

6.49の(a)は風から見ても時計回りでうず度は負で,高気圧性の流れであることがわかる。

図6.49 うず度の計算1

 

この例では点Pの周りはu,vの値が与えられているが,実際はいろんな風向の風が吹いている。図の右肩の
ように風向から角度αを求め,風速Vから三角関数を使ってu,vを計算する。

 

点Pのうず度は

ζ=(凾磨^凾)−(凾普^凾凵j

 =((v−v)/(x−x))−((u−u)/(y−y))

ここで,

<0,v>0, (x−x)>0 

>0,u<0,(y−y)>0

だから,第1項は負に,第2項は正になり,

ζ=[(−)/+]−[+/+]<0となる。

ζが負であるから時計回りで高気圧性である。

(b)の場合の点Pにおけるうず度を計算する。

ζ=(凾磨^凾)−(凾普^凾凵j

 =((v−v)/(x−x))−((u−u)/(y−y))

= ((−6m/s)−(6m/s))/(100×1000m)

 −((10m/s)−(5m/s))/(100×1000m)

=((−12 m/s)−(5m/s))/(100×1000m)

=−17×10−5/s

うず度は負だから,高気圧性を示す。

 

 

図6.50 うず度の計算2

 

6.50(a)の場合のうず度を考える。

南北方向の一直線上に100km間隔でA〜Eの地点があり,それぞれ図に示す西風が吹いている。

AB間のうず度

ζAB=(凾磨^凾)−(凾普^凾凵j :西風,v=0,凾磨0

=−((uA−uB)/(yA−yB))

=−((11m/s)−(17m/s))/(100×1000m)

=−(−6m/s)/(100×1000m)

=+6×10−5/s

DE間のうず度

ζDE=(凾磨^凾)−(凾普^凾凵j

=−((uD−uE)/(yD−yE))

=−((12m/s)−(8m/s))/(100×1000m)

=−(4m/s)/(100×1000m)

=−4×10−5/s

 

同じように,BC間,CD間のうず度を計算しなさい。

このことから

     強風軸から北へ風速が弱まるところではうず度は正。

     南に向かって弱まるところでは負の渦度になる。

     強風軸の北側で正のうず度,南側で負のうず度だから,その間でうず度=0のところがあるはずである。

     地点Cのうず度

 

Cを挟んだ凾凾フ距離を無限に小さくしていく。そうすると,どこかで北側の風速と南側の風速はCに

おける風速に近づき,等しくなる。この時,凾普0になり,うず度も0になる。

図の(b)は南風の場合だが,上述と同じように考えると、強風軸の西側で正のうず度,東側で負のうず度になる。