これまでは風の方向を基準に見てきたが,次にx−y座標についての地衡風の式を導く。風速と力をx方向(東西

成分)とy方向(南北成分)に分け,それぞれについての運動方程式を導く

 単位質量の空気塊を考え,速度Vのx成分をu,y成分をvとする(V(u,v))。運動方程式F=mα(いまは

m=1)をx,yに分けて考える。

 

x方向の運動方程式

 x方向の加速度= 気圧傾度力のx成分

         +風のy成分によるコリオリ力

         +摩擦力のx成分       (6.29−1)

y方向の運動方程式は

 y方向の加速度= 気圧傾度力のy成分

         −風のx成分によるコリオリ力

         +摩擦力のy成分      (6.29−2)

 

      6.29−2)式のコリオリ力の−符号は風のx成分が+(西風)のときはy軸の−方向へ働き,風のx成分が−

(東風)のときはy軸の+方向へ働くことによる。

      前と同じように,加速度は右辺に比べると小さいので0と考える。

      また,摩擦がない自由大気中の運動を考えるので摩擦力も無視しする。

 

 

図6.29 直交座標の気圧傾度力

 

残るのは気圧傾度力とコリオリ力である。

気圧傾度力のx成分を求める。図6.29の左図で空気中に直方体の空気塊を考える。

x軸方向の断面積をS,厚さを凾,密度をρとする。

2つの面が受ける気圧はS・PとS(P+凾o)であるから,差し引き

S(P+凾o)−S・P=S凾o

の大きさの気圧差(力の差)になる。

これを直方体の質量m=密度×体積=ρ凾Sで割ると,

単位質量あたりの

気圧傾度力のx成分の大きさ=        (6.30−1)

になる。

6.29の右で同じように考えると,

単位質量あたりの

気圧傾度力のy成分の大きさ=        (6.30−2)

が得られる。自分で導いてみよ。

 

 次はコリオリ力を考える。

x軸方向のコリオリ力は風のy成分vによるものである(コリオリ力は風に直角に働く)。

風のy成分によるコリオリ力=2ΩvSinφ     (6.31−1)

y軸方向のコリオリ力は風のx成分uによるものである。

風のx成分によるコリオリ力=2ΩuSinφ     (6.31−2)

 

 (6.29−1)式,(6.29−2)は

 0=2ΩvSinφ−  ,0=2ΩuSinφ+

となり,コリオリパラメーターfを使って表わすと,

fu=−  ,fv=           (6.32)

地衡風のx(東西)成分は

=−            (6.33)

地衡風のy(南北)成分は

v=             (6.34)

となる。凾oはx,y方向のそれぞれの気圧差である。