3 地衡風

(1)等高度面の地衡風

等高度面における地衡風を考える。

 

図6.27 地衡風

 

 

地衡風の条件

      6.27で等圧線に平行な方向の風の速さをVとする。

      空気塊に働く力はコリオリ力と気圧傾度力だけで摩擦力,遠心力などの他の力は働いていないとする。

*大規模な流れでは遠心力は無視できる(平行な流れ)

*摩擦力もおよそ高度1000m以上では無視できる。

地表などの下層では摩擦力を考えなくてはいけないが,これについては後述する。

実際の天気図でみられるように等圧線はカーブしていますが,大規模現象では,ある時間,ある場所におい

ては等圧線は平行と見なせます。

・ 流れは定常で時間変化はない。

速度変化がない=加速度は0

運動方程式F=mαを考える。

      空気は等圧線に平行に動いていて,定常である。

      気圧傾度力は流れ(等圧線)に直角に高圧部から低圧部(流れの進行方向の左側に直角)に働く。

      コリオリ力は進行方向の右側に直角に働く。

 運動方程式は

 (コリオリの力)+(気圧傾度力)=等圧線に直角な方向の加速度

 

定常な流れを仮定しているから,右辺の加速度は0である。実際の中・高緯度の運動でも右辺の加速度の

大きさは左辺の2つの力に比べて1桁小さく無視できる。運動方程式は

=0          (6.25)

となり,風速Vは

           (6.26)

になる。

 

地衡風をまとめると,

空気に働く力は気圧傾度力とコリオリ力の2つで,釣り合っている。

F=mαからF=0,加速度α=0であるから,かぜは時間変化をしない定常流であり,地衡風の式は

なぜ地衡風が吹くかを説明するものではない。

風は等圧線に平行に吹き,北半球では低圧部を左側に見るように吹く。南半球では高圧部を左側に見る

ように吹く。

 

上層の天気図は等圧面天気図を使うが,解析では地衡風近似を頭にいれて,高度線を風向にほぼ平行に描く。

 

 

[問題]北緯30度上の200km離れた地点で気圧差が2hPaであった。

 空気の密度=1.2kg/m,地球の自転角速度=7.3×10−5−1

 として,地衡風速を求めなさい。

  答 11.4 m/s

   (6.26)式で 2ΩSinφ=2×7.3×10−5−1×0.5

             ρ=1.2kg/m

         凾o/凾氏=i2×100kg/m・s)/100×10m)

     *1hPa=100Pa=100N/m=100kg/m・s

             N=kgm/s2

     *三角関数の30°,45°,60°の値は覚えておくこと。