6 章 力学の法則と大気の運動

 この章では大気(空気)の運動とそれに関連する幾つかの概念・物理量を学ぶ。

下図は300hPaの流れである。うずをまいているところ、直線的なところ、蛇行しているとこ
ろもあるが、大気は全体としては西から東へ、早くなったり遅くなったりしながら地球を取り巻
くように動いている。これは大気に力が働いているからである。どんな力が働いているのだろうか。

また、地球は球であり自転している。このことが大気の運動にどんな影響を与えているのだろうか。

 

 

 

 

6.1 力学の法則

6.1.1 座標

東西方向:X軸 緯度線に沿い,東向きが+,西向きが−符号。

南北方向:Y軸 経度線に沿い,北向きが+,南向きが−符号。

鉛直方向:Z軸 地点と地球の中心を結ぶ線に沿い。

        地球の外向きが+,地球中心への向きが−符号。

(気象においては高度mではなく,気圧高度として気圧hPaで示す。高度は

上層に向かって増加するが,気圧は減少する。)

 図6.1右図のように地球は近似的に球形(赤道直径の方が極直径より少し大きい楕円球)であ

る。地点によって座標軸の向きは異なる。 

 図6.1左図のように地点の位置は,ある基準点からの東西方向の距離X1と南北方向の距離Y1

が決まれば水平面の位置P’(X1,Y1)がわかり,さらに鉛直方向の距離Z1が決まればその位置

P(X1,Y1,Z1)が決まる。

 

 

図6.1 座標

 

 

6.2は300hPa等圧面天気図である(等圧面天気図については後述)。地図の図法はいくつか

あるが,上図はポーラーステレオ図法で気象では一般的に使われている。

地図には緯度線と経度線が描いてある。緯度線が東西方向,経度線が南北方向であり,紙上

の右・左,上・下ではない

 

図6.2 300hPa等圧面天気図(気象庁)