[問題4]
温位が高度と共に高くなる大気中で、平地で未飽和の気塊が山を越える時の温
位の変化を、次の三つの場合について考える。
(1)山頂に達しても雲が発生しない場合。
(2)山腹で雲が発生するが、降水は起きない場合。
(3)山腹で雲が発生し、降水が起きる場合。
それぞれの場合の定性的な温位変化の組み合わせとして最も適当なものを次の@〜Dの図のうち
から選べ。ただし、いずれの場合にも気塊と周囲の空気とのあいだの混合及び熱の出入りはない
ものとする。
注意:各図のなかで線(1)、(2)、(3)は点Aでは温位が同じであるが、図を見やすくするために、少
しずつ上にずらして示してある。温位の値ではなく温位の変化傾向だけに注目すること。またAと
Cの海抜高度は等しい。
[解答4]
正解はCです。
(1) の場合は、雲の発生がないので山頂まで乾燥断熱変化をします。山頂から山麓に下降するとき
(2) も乾燥断熱変化です。エマグラム上では同じ乾燥断熱線上で変化するので、温位は変化しませ
ん。
(3) の場合は、山腹で雲が発生するまでは乾燥断熱変化をします。山腹から山頂までは、水蒸気(気
体)が雲粒(水:固体)に変るために凝結熱(潜熱)が放出されて湿潤断熱変化をします。したがって
温位は高くなっていきます。降水がないわけですから空気塊の水分は変わりません。山頂から始
めに雲が発生した山腹まで下降するときに、雲粒は周りから蒸発熱を奪います。この熱量は上昇
するときに放出した凝結熱に等しく、この間は湿潤断熱変化をします。したがって、温位は低く
なっていきます。始めに雲が発生した山腹に達したときに雲粒はすべて水蒸気に変わり、そのあ
とは乾燥断熱変化をします。(2)の場合の空気塊は、エマグラム上では上昇するときの乾燥断熱線
と湿潤断熱線を辿って下降するわけです。
(4) の場合は、空気塊が山頂から下降し、始めに雲が発生した山腹の途中までは(2)と同じ変化を
します。降水が起きたために空気塊の水分は、降水の分だけ減少しています。したがって、始め
に雲が発生した山腹の途中で雲粒はすべて水蒸気に変わってしまい、その後は乾燥断熱変化をし
ます。エネルギーを考えると、山麓へ戻ってきた空気塊の内部エネルギーは上昇する前よりも大
きくなり、温位は高くなっています。
[問題5]
乾燥空気の気体定数の単位を国際単位系(SI)で表すとき、正しいものを次の@〜Dのう
ちから一つ選べ。
ここで、
J:エネルギーの単位(=Nm=m2kgs−2)
K:温度の単位
Pa:圧力の単位(=Nm−2)
である。
@J AJK−1 BJkg−1 CJkg−1K−1 DPam−3K−1
[解答5]
正しいのはCです。
気体の状態方程式P=ρRTからR=P/(ρT)になります。
Pa=Nm−2ですから問題に与えられているエネルギーの単位J=Nm=m2kgs−2からN
(力)の単位を求めるとN=mkgs−2になります。sは国際単位系で表した時間(秒)です。し
たがって圧力の単位はPa=Nm−2=m−1kgs−2になります。密度の単位はρ=kgm−3、
温度はKですから、これらをR=P/(ρT)に代入して気体定数Rの単位を求めると