[問題1] 降水の凝結に関する次の文章で、空欄A〜Cを埋める数値の組み合わせ@〜D
のうち、正しいものを一つ選べ。
ただし、水の密度は103kgm−3、凝結熱は2.5×106Jkg−1、乾燥空気の定圧比
熱は103JK−1kg−1とする。
10mmの降水は、1m2あたり(A)の水が凝結し、落下したことを意味する。この時に発生す
る熱は(B)である。このすべての熱が地上(1000hPa)から500hPaまでの大気を暖めるのに
用いられたとすると、気柱の質量は1m2あたり5000kgであるので、その気柱の平均的な
温度の上昇は(C)となる。温度上昇の結果として生じる浮力は、降水をもたらした現象の
維持や発達にとって、きわめて重要である。
A B C
@ 10kg 2.5×107Jm−2 50度
A 10kg 2.5×107Jm−2 5度
B 10kg 2.5×106Jm−2 50度
C 1kg 2.5×106Jm−2 50度
D 1kg 2.5×106Jm−2 0.5度
[解答1]
正しいのはAです。
(A)1m2当たり
10mm(=10−2m)の降水の体積は10−2m3ですから、
水の密度が103kgm−3とすると、その質量は10−2m3×103kgm−3=10kgになります。
(B)そのときに発生する熱量は凝結熱を2.5×106Jkg−1とすると
2.5×106Jkg−1×10kg=2.5×107J
になります。
(C)この熱が5000kgの空気を加熱するとき、乾燥空気の定圧比熱が
103JK−1kg−1ならば、熱量=比熱×質量×昇温量から
昇温量
になります。
[問題2] 気温Ta、相対湿度50%の空気塊を気温Tbまで冷却したところ、水蒸気の一部
が凝結し飽和状態になった。凝結した水分を取り除いたのち、気温Tcまで加熱
した。このときの空気塊の相対湿度(%)として正しいものを、次の@〜Dのうち
から一つ選べ。ただし、気圧は一定であるとし、Ta、Tb、Tcに対応する飽和
水蒸気圧はそれぞれEa、Eb、Ecとする。
@ C
A D
B
[解答2] 正しいのはAです。
気温Taの空気塊を気温Tbまで冷却したとき、その空気塊は水蒸気飽和になり凝結が
始まっています。したがって、気圧が一定ならばそのときの空気塊の水蒸気圧はEbに
なっています。凝結した水分を取り除いていますから、その空気塊を加熱しても水蒸気
の補給はありません。
Tcまで加熱されても空気塊の水蒸気圧はEbのままに保たれています。空気塊の相対
湿度は
[問題3] 空気塊の上昇に関する次の@〜Dの記述のうち、誤っているものを一つ選べ。
ただし、空気塊は水蒸気を含まず、外部との熱のやりとりはないものとする。
@上昇に伴って、外側から空気塊に加わる圧力は減少する。
A上昇に伴って、空気塊の体積は増加する。
B上昇に伴って、空気塊の温度は下降する。
C上昇に伴って、空気塊の内部エネルギーは減少する。
D上昇に伴って、空気塊の温位は下降する。
[解答3]
誤りはDです。
空気塊が上昇するとその周囲の気圧が低くなるため、空気塊に加わる圧力が減少し、
膨脹します。したがって、@、Aは正しい。
空気塊の断熱膨脹はその空気塊が外部に対して仕事をしたことですから(外部が空気塊
に仕事をしたのではない)、空気塊の内部エネルギーは減少し、温度は下がります。
したがって、B、Cは正しい。
乾燥空気の断熱変化では温位は一定です(エマグラム上では同じ乾燥断熱線上で変化する)。
したがって、Dは誤りです。