静力学平衡の式(3.40)は次の表現もあります。
気圧面P1の高度をZ1、気圧面P2の高度をZ2として、その間の高度差
(層厚といいます)は、
(3.41)
と表わせます。lnは自然対数、Z2=Z1+凾y、P2=P1+凾o で
す。また、気温Tは2点間の平均気温です。
(3.40)式の導きには微分・積分の知識が必要なので、簡単に述べるだけにします。
(3.40)式を微分で表わすと、
dz=−(RdT/g)dP/P
P1(Z1)からP2(Z2)まで積分すると、
Z2−Z1=(RdT/g)(lnP1−lnP2)
=(RdT/g)ln(P1/P2) (3.41)
高層気象観測では、地上から上層へと気圧、気温、湿度を観測します。ある気圧面の高度を(3.41)
式から計算します。実際の大気は水蒸気を含んでいますから、平均気温の計算には仮温度((3.35)
式:P52)を使い、気体定数は乾燥空気の気体定数が使えることになります。地上の気圧高度は分
っていますから直ぐ上の気圧、気温から凾y、そこの高度を計算します。そこの気圧、高度、気温を
元に次の層の気圧、気温から高度を計算して順次、上層の高度を計算していきます。
飛行機に乗ると、「・・・高度1万メートルを飛行中です。」とアナウンスがあります。飛行機は
高度計を積んでいるわけではなく、気圧計で気圧を観測し、(3.41)式から高度を求めているのです。
温度は測っていなく、表3.4の国際標準大気を基準としています。
表3.4 国際標準大気(一部)