3.2.4 熱力学第1法則
熱力学の第一法則は気体に熱が加えられたとき、加えられた熱エネルギー(凾p)はその気体の内部
エネルギーの増加分(凾t)と気体が膨脹により外部になした仕事(凾v)の和に等しいことを表わす
ものです。
凾p=凾t+凾v (3.19)
つまり、熱力学の第一法則は熱エネルギーと力学エネルギーを合わせたエネルギー保存の法則です。
熱力学の第1法則を大気の状態変数P、α(ρ)、Tで表現しましょう。
単位質量の空気塊に凾pの熱を加えた時を考えます(図3.9)。
図3.9 加熱により膨脹する気塊
まず、仕事のエネルギー凾vは圧力Pが凾窒セけ空気塊を押し広げた時の仕事です。
圧力Pは単位面積あたりの力で、初めの表面積S1の全体ではP・S1です。表面積全体が凾窒セけ
膨脹するから、空気塊が外部に対してする仕事のエネルギーは、凾v=P・S1・凾窒ニなります。
面積S1が凾窒セけ外へ拡がったので、S1・凾窒ヘ膨脹によって増えた体積凾uに等しくなります。
したがって、空気塊が外部に対してする仕事のエネルギー凾vは、
凾v=P凾u (3.20)
と表らわせます。ここで、比容α(=V/M)の変化刄ソは単位質量(M=1)を考えていますから
刄ソ=凾uとなり(3.20)式は
凾v=P刄ソ (3.21)
となります。仕事のエネルギーが状態変数の圧力と比容で表わされました。
次は内部エネルギー凾tです。ここはちょっとした手続き(テクニック)が必要です。
(3.19)式
凾p=凾t+凾v を
凾t=凾p−凾v と書き直します。空気塊を加熱した時に膨脹しないようにします。
このことを定積変化、等容変化(体積一定)などといいます。今は外部への仕事はしない(体積は変わ
らない)条件ですから凾v=0です。
したがって、凾t=凾pとなり、外部から与えられる熱量は全て内部エネルギーの増加に使われます。
空気塊の温度が凾s上昇したとすると、凾p/凾sはその空気塊の比熱です。今は定積変化ですから、
この比熱を定積比熱と言いCvと書きます。そうすると、
凾p/凾s=Cv 、 凾p=Cv凾s
となり、
凾t=凾p−凾v=凾p=Cv凾s (3.22)
(3.21)、(3.22)式を(3.19)式へ代入すると、
熱力学第1法則
凾p=凾t+凾v=Cv凾s+P刄ソ (3.23)
が導き出されます。