3.1.4 力学エネルギーと熱エネルギー
「運動エネルギー、位置エネルギーと熱エネルギーが同じもの」とは、少々分りづらいですね。有名
なジュールという人が次の実験をし、力学的エネルギーが熱に変換されることを確かめました。
図3.7を見てください。錘が下がると羽が水をかき混ぜます。そして水槽の温度を測ると温度が上昇
しました。錘は下がることによって位置エネルギーを失い、この位置エネルギーは羽を回す仕事と滑車
との摩擦(熱)に使われます。水槽の中では、羽が水の抵抗を受けながら水をかき混ぜます。この時に
摩擦熱が発生して水温が上昇したわけです。
ここで仕事と言う言葉が出てきました。物理では物体に力を加えて動かすことを仕事といい、
仕事=力×距離=エネルギー
となります。仕事はエネルギーなのです。
そうすると熱エネルギーは仕事をすることが出来ます。3.2の熱力学の第1法則にこの考えが出てきま
す。
ジュールはエネルギーの単位としてその名前を残し,エネルギー(仕事)の単位にJ(ジュール)が
用いられます。
1J=1Nの力が、物体を1m動かす時にするエネルギー(仕事)
1Nの意味は?。前に戻って確かめてください。
錘が下がると、綱で結ばれた水槽内の羽が回り、水をかき混ぜる。
図3.7 ジュールの実験:力学エネルギーと熱エネルギー
3.1.5 気象に関係する単位
気象、物理ではいろんな物理量があり、その単位が決められています。
原則として国際単位系(SI単位系)と呼ばれるものを使います。下表の単位は覚えてください。
表3.1 国際単位系
|
量 |
単 位 |
記号 |
補足 |
S I 基 本 単 位 |
長さ 質量 時間 温度 平面角 |
メートル キログラム 秒 ケルビン ラジアン |
m kg s K rad |
1000g=kg 273.2K=0℃ 円弧/半径 |
S I 組立 単位 |
力 圧力 エネルギー (仕事) 面積 体積 密度 速度 加速度 熱容量 比熱 |
ニュートン パスカル ジュール 平方メートル 立方メートル キログラム/立方メートル メートル/秒 メートル/(秒)2 ジュール/ケルビン ジュール/(キログラム・ケルビン) |
N Pa J m2 m3 kg/m3 m/s m/s2 J/K J/(kg・K) |
m・kg/s2 N/m2=kg/(ms2) N・m=m2・kg/s2 m2・kg/(s2・K) m2/(s2・K) |